亀鶴庭


  羅漢襖絵のある広間を奥へと進むと、庭園が広がります。中央には蓮池があり、その奥中央に三尊石(浄土宗の三尊仏・阿弥陀仏、観音菩薩、勢至菩薩を表したもの)を配します。周りには松竹梅、もみじ、苔などを植栽し、こじんまりとしていますが、心和む落ち着いた庭となっています。

 

  浄土宗で信仰する阿弥陀仏が建立した西方極楽浄土に迎えられる時、我々は蓮池の蓮の中に生まれ、仏に相まみえるとされ、この庭は極楽浄土を表しています

 

  極楽浄土で暮らす人々は永遠の命を約束されると仏典に説かれております。この世では永遠に生きながらえる事はできませんが、祝い言葉に 鶴は千年、亀は万年” という言葉があります。

 

  鶴や亀が実際に千年、万年生きながらえることはなく、鶴は蔓を表し家系を喩えたもの、亀は家名を喩えたもの。家系と家名が末永くという願い。先祖に感謝し、現世での子孫繁栄を願った言葉であります。

 

  写真中央のマツは、鶴が羽を広げて大空へ飛び立とうとする姿を模しています。亀も写真のどこかに隠れていますよ。

亀鶴庭の四季


蓮庭


 

 

  蓮庭では6月末から8月中旬にかけて大輪の蓮の花が咲きます。早朝に花が開き昼には花が閉じますので蓮を見に来られる際は午前中がおすすめです。

 

 黒い泥の中から純白の花を咲かせる白蓮華は、汚れ多きこの世において清い心を保つ人に喩えられ尊ばれています。

        瑞蓮(ずいれん)

  

  瑞蓮とは”めでたい蓮”という意味です。通常蓮の花は、一つの花茎から一つしか花をつけませんが、稀に複数の花をつける事があり、これを瑞蓮と呼んでいます。

 

  左は珍しい植物を紹介した『植物妖異考』という書物に記載された瑞蓮の解説。瑞蓮が咲いた年に珍しい出来事が起こったという事例が数々記されています。

 

  玄忠寺では約12年に一度の割合で瑞蓮が観測されており、近年では令和元年8月に咲きました。